先崎先生のNHK将棋講座での△3三角戦法解説。
前編:
△3三角戦法の説明
▲6五角打ち
▲6八玉
▲9六歩
△2五桂ポン
狙い筋などを、さらっと解説。
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△3三角戦法の狙いは、幅広い選択肢を持つ戦法で、一概には言えませんが、振り飛車党なら間違いなく△2二飛からの積極策が狙いになります。
その狙いを防ぐ意味でも、
四手目△3三角を見たら、とりあえず角交換して下さい。理由:
△3三角戦法を咎める▲3三同角の意味後手は一手損して角を上がっていますし、通常の角換わりでも不満もありません。
居飛車にとって不満な序盤は、攻める事ができず、固めるにも気を使う展開だと思います。

佐藤康光棋王の△3三角戦法対策(段位は当時のもの)。
当時この対策が出た時には、
決定版と呼ばれ、△3三角戦法が無くなる危機がありました。
これと言って変化する余地もなく、あの久保八段が一方的に負かされました。
▲7七角の意味は、△4四歩が突けないので、金銀の応援が効かない桂頭を攻めますと。
単純に
早繰り銀から、桂馬を歩で取る狙いです。
すでに桂頭は受かっていませんし、代償も特に見当たりません。
実戦例:
2008/10/26 佐藤康光棋王 vs 久保利明八段 先手噂の決定版:後手向飛車2008/10/13 谷川浩司九段 vs 橋本崇載七段 先手噂の決定版:後手△4四角

角交換から
▲6五角は、無筋である。。。本当にそうなのか?実力の範囲内で検証してみたいと思います。
そう思い立った理由は、2chスレッド
後手番4手目33角戦法521氏の手順が気になったからです。
並べてみると確かに難しい。
鈴木先生が振り飛車良しと断言しているため、▲4三角成りの筋の解説は一切ありません。
▲4三角成りの代わりに、香車受けてくれたりすると振り飛車良しになるんですが…
調べられる限り棋譜の同一局面を探しましたが、プロの実戦例で▲6五角を打った棋譜はなかったです。
ちなみに521氏の書き込み
521 名前:名無し名人[] 投稿日:2009/09/18(金) 10:42:06 ID:g0IBskpn
大介本にもあったけど45角を先手がうつと先手不利となるけど
いい勝負じゃないか?森内も危険とか>>30で言ってるが。
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △3三角 ▲同角成 △同 桂
▲2五歩 △2二飛 ▲6五角 △4五桂 ▲4三角成 △5七桂不成
▲5八飛 △4九桂成 ▲同 玉 △4二飛 ▲5三飛成 △5二金右
▲4二馬 △同 銀 ▲2三龍
2ch 将棋・チェス板 該当スレへのリンク→
後手番4手目33角戦法234 名前:神解説1/3[sage] 投稿日:2009/01/31(土) 02:15:24 ID:XDQkSqpx
18 名前:名無し名人[] 投稿日:2009/01/28(水) 21:04:19 ID:tke19W2G偉そうに書いて誠に申し訳ありませんが、需要があるかはわかりませんが「△3三角戦法の基礎知識」を少し。
△3三角戦法は
今期棋聖戦第二局▲佐藤ー△羽生以来のタイトル戦登場だと思います。、この戦法は簡単に言うと
・角道を通しているので主導権が握りやすく、また先手の居飛車穴熊も牽制している
・左桂と角が捌きやすい
・居飛車、振り飛車どちらにも変化できる柔軟性がある
といったあたりが主張の戦法です。ちなみにこの戦法を一番指されているのは窪田六段です
▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲同角△同桂、本譜6手目のこの局面が一つのテーマでどれを選ぶかによって形が随分と違ってきます。
先手からは▲2五歩、▲6八玉、▲7八金が主に指されています。簡単にですがそれぞれを見ていきたいと思います
・▲2五歩 まず基本の変化なのですが▲2五歩からの飛車先突破が気になりますが、△2二飛で大丈夫です。
以下▲6五角の両成りが受からないように思えますが、△4五桂▲4八銀△5五角で先手の香車が助からずこれは後手が良いです。
これはよく出る後手の狙い筋です。
では▲2五歩は無いのか、と言えばそうではなく▲2五歩△2二飛と振り飛車に決めさせてから▲6八玉としたり、
また最近では▲2五歩△2二飛に▲9六歩!という手が流行しています。不思議な端歩なのですが△9四歩と受ければ今度は▲6五角が成立します
(△4五桂▲4八銀△5五角の筋に▲9七香を用意しています、丸山ワクチンにおける佐藤新手の応用です)
なので後手は△9四歩とは受けられないので、端の位を取らせてその2手分で駒組勝ちを目指すか、穴熊に組んで位の圧力を緩和する指し方を
目指します。後者の代表は
今期棋王戦『▲羽生ー△久保戦』で後手の久保八段が勝ち、そのままの勢いで挑戦者にまで登りつめました
235 名前:神解説2/3[] 投稿日:2009/01/31(土) 02:15:49 ID:XDQkSqpx・▲6八玉▲2五歩を決めずに▲6八玉も良くある手で△2二飛には▲6五角が成立します。以下△4五桂▲4八銀△5五角には▲7七桂で大丈夫。なので後手は振り飛車にするなら手損ですが△4二飛と途中下車をしてから
機を見て△2二飛とする必要があります、これが▲6八玉の狙いです。最近▲6八玉が良く指されているのは、
初手から
▲7六歩△3四歩▲2六歩△3三角▲同角成△同桂▲6八玉
△4二飛▲7八玉△6二玉▲2五歩△7二玉▲4八銀△2二飛▲7七角
という手法が佐藤棋王によって編み出されたからです(
今期王将戦リーグ▲佐藤ー△久保戦において)
NHK杯戦の『▲谷川ー△橋本戦』もこの形だったのでご記憶の方も多いかと思います。
△2二飛の瞬間▲7七角が上手い手で、狙いは▲3六歩~▲3七銀~▲4六銀からの桂頭攻めです。この時に後手から△4四歩~△4三銀の守りが利かないのが▲7七角の効果です。
一時期は「決定版」とまで言われましたが、後手にも中々△2二飛としないといった対策もありこれからと言ったところだと思います。他にも後手の対策としては▲6八玉の瞬間に△4四角と言う手があります。
先手に▲7七角か▲6六角と受けさせてそこで居飛車に戻すのが後手の上手い指し方で▲6八玉に対して有力視されています。
例えば▲7七角には△同角成▲同桂で桂頭を狙う
▲6六角には△3二金~△2二銀とする。先手が▲4四角と取れば△同歩は手得となります
おそらくこの変化を警戒されて羽生四冠は▲7八金を選ばれたのかと思います。
236 名前:神解説3/3[] 投稿日:2009/01/31(土) 02:16:13 ID:XDQkSqpx・▲7八金これも有力な手です。意味は△2二飛ならやはり▲6五角で△4五桂▲4八銀
△5五角に今度は▲8八銀を用意していますですから後手は△4二飛の途中下車か△3二金から居飛車、あるいは立石流を目指す将棋になります。
先手の囲いは本譜のように▲7七玉~▲8八玉として穴熊にする。▲6八銀~▲6九玉から矢倉にするのが主なので▲7八金の形自体はそれほど気になりません
ただ後手から△2五桂のとび蹴りから早く動いてくる手や穴熊に組んでも角を手持ちの関係上バランスがとりにくいのが難しいところです
といっても穴熊は穴熊ですのでなんだかんだと勝率がよかったりします。(局数自体少ないのですが)
最近▲7八金は確かに少なくなっていますが、流行の問題かと思います
今期棋聖戦第2局や今
期王座戦挑戦者決定戦▲木村―谷川戦。
女流王位戦第2局など重要な所でこの▲7八金は現れています
長すぎる上に読み辛い事と思いますが、明日の9時までの暇つぶしにとご笑納いただければなと思います

この局面で
△4四角と打つ手があります。
噂の決定版から逃げるためにも、覚えておきたい定跡です。
この角打ちは後手が
相居飛車になり、角換わりに近い将棋になります。
香車をただで取られる訳にはいきませんので、受けなくてはいけませんが…
角を合わせる筋を考えてみます。
佐藤流▲9六歩と概念は全く一緒です。香車を狙われたら▲9七香と逃げることが出来ます。
つまり、▲6五角に△5五角が無効になってしまうため、
△2二飛を許さないという事。
手を抜いてると端詰めますよ?との積極的な意味も含まれています。
△9四歩と受けてみたいです。
△3二金は消極策。でも凄く安全。
自信が無ければ、△3二金とすれば悪くなったりしません。

△3二金から、ある程度妥協した指し方ですが、角交換されて立石流で何が悪い?と思っている振り飛車党も多いはずです。
プロで実戦の多い立石流対策から、調べたいと思います。
でも、難解なんです。足りてない知識のところは、教えて下さい。
重要なポイントは一つです。
△4四飛と上がられる前に、▲7七角or▲6六角と打つ。△3三角戦法~立石流の対策としてプロ間で流行っています。
立石流にするために、△3五歩としてから、飛車を上がる必要があります。先に飛車を上がると、▲3六歩突かれて、悲しい思いをします。△3五歩を見て、角を打つ。これが重要です。
鈴木先生の
「角交換振り飛車 基礎編」
にも乗ってない変化です。
実践例:
2002/12/16 杉本昌隆六段 vs 久保利明七段 先手▲7七角~銀冠:後手立石流~向飛車 振り飛車●2006/01/20 森下 卓九段 vs 杉本昌隆六段 先手▲7七角:後手立石流 振り飛車●2006/05/01 北浜健介七段 vs 窪田義行五段 先手▲7七角:後手立石流△4三金 振り飛車○2008/06/10 塚田泰明九段 vs 小林健二九段 先手▲7七角:後手立石流△4三金 振り飛車●

欲張って玉で
8三の地点を受けてしまえば、二手損四間飛車に合流し
積極的な攻めが期待できるため
△4二飛と待機する指し方です。
▲2五歩と突いてきたら、△6二玉ではなく
安全策なら△3二金。
△3二金は安全ですが、作戦の幅を狭めている意味があります。
金上がりは立石流に向かう上でベストな構えです。
しかし立石流は本来
居飛車穴熊用に開発されたもので、
居飛車の方針が決まっていない段階で、形を決めてしまうのは
微妙らしいです。
注意する点として9九の香車が浮いている形、又は二枚角が効く形ならば、急戦に対応できます。
仮に7七銀等、部分的に飛車先はもう受かっていません。
▲2五歩 △6二玉の居飛車の急戦策を調べてみます。
ちなみにこの変化はダイレクト四間飛車でも頻度は少ないが現れます。
手順は違えど局面図は全く一緒のものになります。

△3三角戦法の
△3二金はほとんどの急戦を封じることができます。
ので、
ゆっくり指したい△3三角戦法使いは、このように指します。
四間飛車から立石流と無理なく構えることができます。

咎めるためには、この局面で
角交換をしなければなりません。
仮に交換せず▲2五歩なら、△2二飛で不満なし。
△2二銀で極々普通の角換わり。△4四歩で通常振り飛車や嘘矢倉。
△3二金で角換わり、阪田式向飛車や立石流と
選びたい放題。
ここで交換すると桂馬を上げることになり、
桂頭の弱点を作り局面を限定することが出来る。
作戦の幅を狭める事をプロは重要視するのでしょう。
他には▲4八銀や▲5二金など香車を守る手段を取らないと△2二飛で振り飛車幸せ。

△3三角戦法の
▲6五角打ちは必修の定跡です。
両成り自体はどうしようもありませんが、
△4五桂~△5五角打ちが軽妙な順です。
この受けを知らないと、この戦法は指せません。
見事に
カウンターを決めることが出来ます。
△3三角戦法をあまり知らない人だと、両成り狙いで▲6五角を打つ方もいます。

鈴木宏彦さんの名著「
イメージと読みの将棋観 」p59にあるように、
羽生先生を始めトップ棋士六名が、
先手勝率初期値と答える4手目△3三角戦法。
非常に優秀かつ、
柔軟な戦法です。
居飛車から角交換しないと、角換わり、急戦矢倉、振り飛車など
選択肢が広がるので咎めに行きたくなります。
咎めるなら、角交換を居飛車から行い、
桂馬の頭を狙いつつ駒組みをして行く方針です。
桂馬を跳ねさせる事で手を限定する意味があり、この戦法にはとりあえず角交換をしてくる方が多いです。